11週掻爬手術の記録
8:30 入院(今回は日帰り)
8:45 診察
所見変わらず、胎児の融解が始まっていることを確認。子宮口を広げる処置。最期のエコーが欲しかったので医師に依頼。これは言わないともらえなかった雰囲気なので、言ってよかった!!
9:10 病室へ
個室でありがたい。点滴のルートをとる。血圧を測る。泣かないようにしていたのに、助産師さんに優しくしてもらって泣く。手を握ってもらってさらに泣く。
〜しばらく泣いたりボーッとする〜
赤ちゃんに最期の手紙を書こうと思ったけど、書けなかった。隣の部屋から生まれたばかりの赤ちゃんの声がする。可愛い。たまらなく可愛くて、泣けてくる。
11:00 手術室へ
歩いて手術室へ。そういえば手術というのは生まれて初めて。緑のシートの上に銀色の手術グッズが並べられているのを見て急に怖くなる。
右腕で再度血圧を測る。左手の指にはサチュレーションを測るやつを装着。色々と準備が進んでいく。酸素マスクがかぶせられた。怖い。
「ぼーっとするお薬入れていきますね」
慣れてないからなんか緊張しますね、と言ったのは現実だったのか夢だったのか分からない。
私は明るくて、白い空間にいた。色とりどりに織られた毛糸の階段を降りていった。白い帽子をかぶり、白いマスクをし、白衣を着た人たちがいた。しばらくすると、私はその階段をのぼっていた。あれ?のぼってるな。そう思った次の瞬間、
「ストレッチャーとってきますね」
遠くの方で声が聞こえる。私は「うー」「うー」と唸っているようだ。肉体は声を出しているけど、意識ははるか後方にある。そんな声を出そうと思って出していない。
「ちょっと移動しますからね」
この声はなに?身体が揺さぶられているようだけど、私は一体どうなっているの?なにが起きているか全然分からない。
ここはどこ?喉かわいた、ここはどこ?
「お部屋ですよ」「もうちょっと意識がはっきりしたら飲みましょうね」
喉かわいた、喉かわいた
私はここにいるけどここにいない。頭に思い浮かべることが、そのまま言葉に出ている。
うわ言のように同じ言葉を繰り返しながら、「また来ますからね」という助産師さんの声をはるか遠くに感じつつ、眠りに落ちた。
不意に時計を見ると、12時。
思うように身体が動かない。意識と身体が一致しない。意識も3歳児くらいの言葉しか出てこない。
あれ?夢だったのかな?
そういえば、取り出した赤ちゃんを見たいって助産師さんに依頼した記憶があるけど、あれは現実?夢?
トイレに行きたい。
急にトイレに行きたくなった。でも身体は全然動かない。
しばらく休んだ。その間も頭に浮かんだことがそのまま言葉に出てくる。そんなつもりないのに。
やっぱりトイレに行きたい。
ナースコールを押した。
介添をしてもらいながら、ふらふらする身体でトイレへ。なんだろう。例えるなら酩酊状態。
ベッドに戻り、水を飲んだ。
だめだ。まだ起きていられない。
「もう少し休みましょう」
私はその言葉を聞いて、目を閉じた。