11週掻爬手術の記録②
14:00
目が覚めた。まだ視界は8割くらいだけど、なんとか自力で起きられる。ボーッとベッドに座っていたら助産師さんが来てくれた。再びトイレへ。今度は一人で大丈夫。
その後、軽食を食べる。あたたかいホットケーキ。アイスティ。
14:30
ナースコールで呼び出しあり。診察をするので診察室へ、とのこと。このボロボロの姿で妊婦さんがたくさんいる待合室に行くのが精神的に辛かった。
内診台で診察。「ちょっと子宮内に血液が残っているけど、大丈夫でしょう」とのこと。
取り出した赤ちゃんを見たい、とリクエストしていたので、見せてもらう。小さな金属のトレーのようなところに組織の塊のようなものがある。
「これが絨毛ね。一応病理検査に出すから」
赤ちゃんの身体は分かりませんか?
「これじゃないかな、けっこう溶けちゃってるけど」
そう言いながらピンセットで乱暴につつく。私の赤ちゃん、もっと丁寧に扱ってよ!そのときはこの言葉すら浮かばなかったけど、あとあと怒りとなった。こんな小さな姿では、命の尊厳も守られないのだろうか。たしかに存在した命なのに。
その後、強い腹痛や発熱などがあったら連絡を、と言われる。病室に戻って良いと言われ、診察室を出るときに医師に言われた言葉がいまも引っかかっている。
「次に妊娠するときは、妊娠初期は大事だから。赤ちゃんの急変もあるから診察の間隔をあけないで」
そのあとなんて言ってたかな?覚えてない。
助産院にも受診がこのタイミングになることは相談してました、とかろうじて返答して診察室を出た。
なにそれ?
じゃあ一週間早く来ていれば赤ちゃんはまだ生きていられたの?死んじゃったのは私のせいなの?
流産手術直後で心身ともにボロボロだったわたしには、責められているように聞こえた。
もちろん向こうはそんなつもりじゃなかっただろう。赤ちゃん最優先で必要なことを言っているだけだ。でも、小さな命を失ったばかりのタイミングで言うことじゃない。ましてやあなたとは今日が初対面で何の信頼関係も出来ていない。あなたから言われたくない。
悔しくて、病室に戻ってまた泣いた。泣きながら着替えた。
ナースステーションに寄ったら、担当の助産師さんが私の赤い目を見て「どうしたの?」と声をかけてくれた。それがスイッチとなり、大泣きした。どこまでも不安定だった。
その後40分くらい、寄り添ってもらいながら少しずつ話をした。助産師さんは本当にすごい。心のケアもプロだ。
やっと落ち着いて、病院を出たのが16:30。
帰りはタクシーで帰った。
付き添いは無かったけど、最期の時間をゆっくり過ごすことができたのは良かった。
長くて短い一日だった。